2016年07月30日

シン・ゴジラ

シン・ゴジラが公開決定。ってゴジラは何回復活するのか、少々呆れ気味だったのが正直なところである。
メカゴジラの逆襲(75年)からゴジラ(84年)まで空白があり、ゴジラVSメカゴジラ(92年)でシリーズ終了…のはずがハリウッド版の公開が遅れたためゴジラVSデストロイア(95年)まで引き伸ばされて終了、ゴジラ2000ミレニアム(99年)で復活してゴジラファイナルウォーズ(04年)で本当にシリーズ完結!
筋金入り(自称)のゴジラオタクだった私は「ああもうゴジラは本当に終わるんだな」と腹をくくったわけだが、2016年に新ゴジラ公開と知っていやいやあれだけもう製作しません終わりですと言っておいて何なんだ、しかもタイトルが「シン・ゴジラ」ってそのまんまじゃないか、まるでエヴァン〇リオンではないか、そうなのである。監督が〇ヴァでお馴染み庵野秀明さん。いやいやそれは(略)

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まあこんな感じで困惑気味だったのだが実際観てみるとこれはビックリ、良い意味で期待を裏切られ、今の日本だからこそ表現できる新ゴジラを見事に表現してくれた。
あらかじめ断っておくが、自分はエ〇ァンゲリオンに全く興味は無いし作品もしっかり観たことがない。
逃げちゃダメだとかあんたバ〇?とかATフィールドとか代わりはいくらでもいるとか人類補完計画とか気持ち悪いとかぐらいの知識しかない。
しかしこの面白さはなんだろう。怪獣映画として観るのは勿体無すぎるぐらいの人間ドラマが描かれている。日本の縦割り行政の面倒臭さや災害時における緊張や混乱が他の映画では観られないほどリアルに表現されていて(外交はやや大雑把だが)、キャッチコピーの「現実対虚構」に相応しい恐怖映画の誕生である。
そして役者を正面からアップで撮るカメラワークがまた良い。アニメ監督ならではの表現であって、冒頭に頻繁に出るテロップや緊迫時に流れる音楽がそれを感じさせる。あっ、エ〇ァに興味は無いんだった。
おそらく絵コンテ段階でかなり二次元的な要素が盛り込まれていて、そこにゴジラという巨大で恐ろしくて日本を代表するキャラクターとして恥じない仕方で計算し尽した企画書が挙がっていたはずである。
「現実にゴジラが現れたらどうなるのか?」という長年のゴジラフリークのテーマにしっかり応えてくれている。これも素晴らしい。「こんなのゴジラ映画じゃない!」と言えばそれは監督や製作者への最高の褒め言葉である。本当にゴジラが好きならぐうの音も出ないはずだ。まあそれは人それぞれだが。

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着ぐるみではないフルCGのゴジラに不安もあったが、ここまで背景と違和感が無ければ十分だろう。むしろCGだからこそ恐ろしいゴジラが表現できたのではないか。洋画と比べれば見劣りはするが、それは監督も観客も承知の上だ。
模型の中で着ぐるみで暴れてくれなきゃ!という気持ちはあるが、そんな事を言い続ければ怪獣映画はおろか邦画全体が衰退していくだけだろう。諦めたわけではないが時代の流れとはそんなものだ。

全く新しい形で製作されたシン・ゴジラ。個人的に満点とまではいかないが、こういう形での「復活」ならいくらでも試みてほしい。願わくば惰性でダラダラ続編を製作しないでほしいと言ったところか。

あとエンドタイトルで、幼少期に初めて観に行ったゴジラ映画のサントラがそのまま流れたことがあまりにも嬉しかったことを付け加えておく。
posted by ビター at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ゴジラ